「配偶者が不貞をしていることが分かった。」
「相手を問い詰めたいけれど、先に何かしておいた方がいいのだろうか。」
「慰謝料を請求したい。でも、離婚するかどうかまでは決められていない。」
「不貞が分かったら、まず何をすればいいのだろう。」

配偶者の不貞を知ったとき、すぐに冷静にこれからのことを考えるのは簡単ではありません。

離婚したいと思うこともあれば、離婚までは考えていないこともあります。
不貞相手に慰謝料を請求したいと思う人もいれば、まずは何があったのかを知りたいという人もいるでしょう。

この段階で、離婚するのか、慰謝料を請求するのかまで、すぐに決める必要はありません。

一方で、何も整理しないまま配偶者を問い詰めたり、不貞相手に連絡したりすると、証拠が残らなかったり、その後の話し合いが難しくなったりすることがあります。

そのため、結論を急がないことと、何もしないことは分けて考える必要があります。

まずは、何が起きているのか。
どのような証拠があるのか。
自分は夫婦関係をこれからどうしたいのか。
離婚する場合には、子どもやお金、生活はどうなるのか。

こうしたことを一つずつ整理していけば、今すぐ答えを出せなくても、これからの選択肢は見えやすくなります。

この記事では、配偶者の不貞が分かったときに、離婚や慰謝料請求を決める前に確認しておきたいことと、その後の選択肢について順番に整理します。

この記事のポイント
01
不貞が分かっても、すぐに結論を出す必要はありません
離婚するか、慰謝料を請求するかは、状況を整理してから考えることができます。

02
結論を急がなくても、事実と証拠は整理しておく
何が起きているのかを確認し、手元にある証拠を残しておくことで、その後の選択肢を確保しやすくなります。

03
離婚するかどうかと、慰謝料を請求するかは別の問題です
夫婦関係をどうするか、不貞について誰にどのような対応を求めるかは、分けて考えることができます。

04
大切なのは、これからの選択肢を知っておくことです
子どもやお金、今後の生活も含めて整理しておくと、自分がどうしたいのかを考えやすくなります。

配偶者の不貞が分かったら、まず何をすればいい?

配偶者の不貞が分かったとき、「すぐに問い詰めた方がいいのか」「不貞相手に連絡した方がいいのか」「離婚するなら何をすればいいのか」と、さまざまなことを考えると思います。

ただ、この段階ですぐに、離婚するのか、夫婦関係を続けるのか、慰謝料を請求するのかまで決める必要はありません。

まず分けて考えたいのは、「これからどうするかを決めること」と「後から判断できるように今の状況を整理しておくこと」は別だということです。

離婚するか、慰謝料を請求するかは後から決めてもいい

不貞があったからといって、必ず離婚しなければならないわけではありません。

夫婦関係を続けるという選択もありますし、しばらく距離を置いて考えることもあります。
離婚を選ぶとしても、すぐに決める場合もあれば、今後の生活や子どものことを整理してから決める場合もあります。

慰謝料についても同じです。
配偶者に請求する、不貞相手に請求する、双方への請求する、あえて請求しないなど、状況によって選択は変わります。

不貞を知った直後の気持ちと、少し時間が経ってから考えることが同じとも限りません。
そのため、今の段階で無理に最終的な答えを出す必要はありません。

ただし、事実と証拠は今のうちに整理しておく

一方で、結論を後から決めることと、何もしないままにしておくことは違います。

時間が経つことで、メッセージが削除されたり、写真や記録が残らなくなったりすることがあります。
配偶者や不貞相手に話をしたことをきっかけに、それまで確認できていた情報が見られなくなることも考えられます。

そのため、まだ離婚や慰謝料請求を決めていなくても、現時点で何が分かっているのか、どのような資料や記録があるのかは整理しておくことが大切です。

これは、必ず慰謝料を請求するための準備というわけではありません。

後になって「やはり請求したい」「離婚について具体的に考えたい」と思ったときに、その選択肢を検討できる状態を残しておくための準備です。

まずは「確認する・残す・考える」の順番で整理する

不貞が分かった直後に、すべての問題を一度に解決しようとする必要はありません。

まずは、次のように順番を分けて考えると整理しやすくなります。

確認する

誰と、いつ頃から、どのような関係があったのか。まずは分かっている事実を整理します。

残す

メッセージや写真など、現在確認できる資料や記録があれば、失われないように保存します。

考える

そのうえで、夫婦関係をどうするのか、慰謝料を請求するのかなど、これからの対応を考えます。

もちろん、実際にはこの順番どおりに気持ちが整理できるとは限りません。

それでも、「今すぐ結論を出さなくてもいい。ただし、後から選べるように必要なことは整理しておく」という考え方を持っておくと、その後の対応を考えやすくなります。

ここからは、まず不貞について何が分かっているのか、具体的に整理していきます。

まず、不貞について分かっていることを整理する

最初に整理したいのは、配偶者と相手との間で、実際に何があったのかということです。

「不倫しているらしい」「親密なメッセージを見つけた」というだけでは、具体的な関係までは分からないことがあります。
一方で、すでに配偶者が不貞を認めていたり、性的関係があったことを示す記録が残っていたりする場合もあります。

まずは推測と確認できている事実を分けて、現時点で分かっていることを整理してみましょう。

誰と、いつから、どのような関係にあるのか

例えば、次のような事情が分かっているかを確認します。

  • 相手が誰なのか
  • いつ頃から関係が始まったのか
  • どのくらいの期間、関係が続いているのか
  • 二人で会っていた日時や場所
  • 性的関係があったと考えられる事情があるか
  • 現在も関係が続いているのか
  • 配偶者自身が関係を認めているのか

この段階ですべてを明らかにできている必要はありません。

大切なのは、「分かっていること」と「まだ分からないこと」を分けることです。

例えば、「毎日のように親密なメッセージを送っている」という事実が確認できても、それだけで性的関係まで確認できているとは限りません。
逆に、ホテルへの出入りなど、性的関係を推認する重要な事情がすでに確認できている場合もあります。

自分の推測をいったん事実として扱ってしまうと、その後に配偶者や不貞相手と話をするときにも、法律上の対応を考えるときにも、状況を整理しにくくなります。

法律上の「不貞行為」にあたるかは別に確認する

日常的には、配偶者以外の人と親密な関係になることを広く「浮気」や「不倫」と呼ぶことがあります。

しかし、法律上の「不貞行為」は、単に他の人を好きになったことや、親しく連絡を取っていたことと同じではありません。

慰謝料請求や離婚を考える場合には、実際にどのような関係があったのかを確認したうえで、それが法律上どのように評価されるのかを考える必要があります。

また、法律上の不貞行為そのものにあたらない場合でも、行為の内容や程度によっては、夫婦の平穏な共同生活を侵害したとして問題になることがあります。

どこからが法律上の不貞行為になるのかについては、次の記事で詳しく整理しています。

不貞行為とは?|どこからが法律上の不貞になるのかを整理する

不貞相手について分かっていることも整理する

慰謝料請求を考える可能性がある場合には、不貞相手について何が分かっているのかも整理しておきます。

氏名や勤務先、連絡先などの情報だけでなく、相手が配偶者を既婚者だと知っていたのかという点も重要です。

不貞相手に不法行為責任が認められるためには、原則として、配偶者が既婚者であることを知っていたか、注意すれば知ることができたという事情が必要になります。

また、不貞関係が始まった時点ですでに夫婦関係が破綻していた場合には、不貞相手に対する慰謝料請求が認められないことがあります。

そのため、「不貞があった」ということだけでなく、不貞が始まった時期、当時の夫婦関係、不貞相手が認識していた事情も、後の判断に関係してきます。

分からないことを無理にその場で確認する必要はない

整理してみると、「相手が誰なのか分からない」「性的関係があったか分からない」「いつから続いているのか分からない」といった部分が出てくることもあります。

だからといって、その場ですぐ配偶者を問い詰めたり、不貞相手に連絡して確認したりする必要があるとは限りません。

確認の仕方によっては、それまで残っていたメッセージなどが削除されたり、相手が警戒してその後の状況を確認しにくくなったりすることもあります。

まずは、今の時点で確認できている事実と、手元にある資料を整理する。
そのうえで、さらに何を確認する必要があるのかを考える方が、その後の選択肢を残しやすくなります。

そして、現在確認できている資料や記録については、なくなってしまう前に残しておくことも重要です。

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証拠は消える前に残しておく

不貞について分かっていることを整理したら、現在確認できている資料や記録は、できる範囲で残しておきましょう。

この段階では、まだ離婚するかどうかも、慰謝料を請求するかどうかも決まっていないかもしれません。
それでも証拠を残しておく意味があります。

後から離婚や慰謝料請求を考えることになったとき、当時は確認できていたメッセージや写真などがすでに消えていることもあるからです。

今ある資料や記録を保存しておく

不貞に関する証拠には、さまざまなものがあります。

例えば、次のような資料や記録が残っていることがあります。

  • LINEやSNS、メールなどのやり取り
  • 二人で撮影した写真や動画
  • ホテルへの出入りが分かる写真や記録
  • ホテルや旅行などの領収書・利用履歴
  • クレジットカードや電子決済の利用履歴
  • 配偶者が不貞を認めたメッセージや書面

ただし、どれか一つがあれば必ず不貞を証明できるというものではありません。

例えば、親密なメッセージは二人の関係を推測する材料にはなりますが、その内容だけでは性的関係まで分からないこともあります。
ホテルへの出入りや本人の認める発言など、複数の事情を組み合わせて判断することもあります。

証拠としてどのようなものが問題になるのかは、次の記事で詳しく整理しています。

不貞の証拠になるもの・ならないもの|裁判で問題となる証拠を解説

証拠は「後から確認できる形」で残しておく

証拠を見つけても、「自分が見たから覚えている」というだけでは、後から内容を確認できなくなることがあります。

例えば、メッセージが削除されたり、SNSのアカウントが消えたり、端末の買替えによってデータが失われたりすることがあります。

そのため、現在確認できるものについては、スクリーンショットや写真など、後から内容を確認できる形で保存しておくことが大切です。

メッセージであれば、問題となる部分だけを切り取るのではなく、相手のアカウントや日時、前後のやり取りなども確認できるようにしておくと、後から経緯を整理しやすくなります。

また、「いつ、どのようなことがあったのか」を時系列で簡単にメモしておくことも、その後の状況整理に役立ちます。

証拠を集めるためなら何をしてもいいわけではない

不貞の証拠を確保したいと思っても、そのためにどのような方法でも使ってよいわけではありません。

特に、配偶者のアカウントのIDやパスワードを使って無断でログインする、他人しか見ることのできないデータに不正な方法でアクセスするといった行為は、別の法的問題につながる可能性があります。

また、証拠を集めることに意識が向きすぎて、相手を過度に追跡したり、勤務先などに接触したりすれば、それ自体が新たなトラブルになることもあります。

証拠を残すことと、無理な方法で証拠を作りにいくことは別です。

まずは現在確認できているものを保存し、それだけでは足りない場合に、どのような確認方法が適切なのかを考える方が安全です。

証拠を残すのは、慰謝料を請求すると決めたからではない

証拠を保存すると、「そこまでしたら離婚や慰謝料請求に進まなければならない」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、証拠を残すことと、その証拠を使って何かを請求することは別です。

証拠を残したうえで、夫婦関係を続けるという選択もできます。
慰謝料を請求しないという選択もできます。

一方で、後になって慰謝料を請求したいと思っても、必要な証拠がすでに失われていれば、当時何があったのかを証明することが難しくなる場合があります。

だからこそ、まだ結論が出ていない段階では、「使うかどうかは後で決める。そのために、今あるものは残しておく」くらいに考えておくとよいでしょう。

そして、証拠を確保したからといって、すぐに配偶者を問い詰めたり、不貞相手へ連絡したりする必要があるわけでもありません。
次に、そのような行動に出る前に考えておきたいことを整理します。

すぐに相手を問い詰めたり、不貞相手へ連絡したりする前に考える

配偶者の不貞が分かったとき、本人に事実を確認したい、不貞相手にも連絡したいと思うのは自然なことです。

実際に、配偶者と話をすることや、不貞相手に連絡すること自体が問題というわけではありません。

ただ、一度連絡すると、その後の状況が変わることがあります。
そのため、「連絡してはいけない」と考えるのではなく、何のために連絡するのか、その前に残しておくものはないかを考えることが大切です。

問い詰める前に、残しておきたい証拠がないか確認する

配偶者に不貞について尋ねれば、事実を認めて説明してくれることもあります。

一方で、不貞を否定したり、それまで残っていたメッセージや写真を削除したり、不貞相手との連絡方法を変えたりする可能性もあります。

特に、まだ不貞の事実を十分に確認できていない段階では、先に問い詰めることで、その後の確認が難しくなることがあります。

そのため、配偶者と話をする前に、現在確認できている資料や記録を保存できているかは確認しておいた方がよいでしょう。

もちろん、すでに配偶者が不貞を認めている場合など、すべてのケースで話し合いを遅らせる必要があるわけではありません。
重要なのは、自分の状況に応じて順番を考えることです。

配偶者と話すなら、何を確認したいのかを整理する

配偶者と話をするときには、「どうしてこんなことをしたのか」という気持ちの問題と、今後の判断に必要な事実の確認が混ざりやすくなります。

もちろん、自分の気持ちを伝えることも大切です。
ただ、これからの対応を考えるためには、例えば次のような事実を確認する意味があります。

  • 不貞相手は誰なのか
  • いつ頃から関係が始まったのか
  • どのような関係だったのか
  • 現在も関係が続いているのか
  • 不貞相手は結婚していることを知っていたのか
  • 今後も不貞相手との関係を続けるつもりなのか

一度の話し合いですべてを決める必要はありません。

事実を確認するための話と、夫婦関係を今後どうするのかという話を分けることで、自分自身も状況を整理しやすくなります。

不貞相手への連絡は、目的を決めてから考える

不貞相手の連絡先が分かっている場合、「すぐに連絡して話を聞きたい」「責任を取ってほしい」と考えることもあるでしょう。

ただ、不貞相手への連絡にもいくつか異なる目的があります。

  • 事実関係を確認したい
  • 今後の接触をやめてほしい
  • 慰謝料を請求したい
  • 謝罪を求めたい

目的によって、伝える内容や確認しておきたいことは変わります。

特に慰謝料請求を考えているのであれば、感情のまま長いやり取りを始めるよりも、証拠や請求できる条件を整理してから連絡する方が、その後の交渉を進めやすいことがあります。

また、不貞相手に連絡した結果、配偶者との間で話を合わせたり、証拠となる記録を削除したりする可能性も考えておく必要があります。

職場や家族、SNSへの連絡は別の問題を生むことがある

不貞相手が分かると、その勤務先や家族に不貞の事実を知らせたいと考えることもあるかもしれません。
SNSなどで事実を公表したいと思うこともあるでしょう。

しかし、慰謝料を請求することと、不貞の事実を第三者に知らせることは別の問題です。

伝える相手や内容、方法によっては、名誉やプライバシーの侵害など、別の法的問題が生じる可能性があります。
また、勤務先への連絡などを慰謝料の支払いを求める手段として使えば、連絡の内容や態様によってはさらに問題が複雑になることもあります。

不貞をされた側だからといって、その後の行為がすべて正当化されるわけではありません。

不貞について責任を求めることと、相手に不利益を与えることを目的に行動することは分けて考える必要があります。

連絡する前に「その後どうしたいか」を少しだけ考えてみる

配偶者や不貞相手への連絡は、一度してしまえばなかったことにはできません。

だからといって、夫婦関係を続けるのか、離婚するのか、慰謝料をいくら請求するのかまで、すべて決めてから話をする必要もありません。

まずは、
「事実を確認したいのか」
「関係をやめてもらいたいのか」
「慰謝料請求まで考えているのか」
という程度でも構いません。

自分が何を確認し、何を求めたいのかを少し整理してから行動するだけでも、その後の選択肢を考えやすくなります。

そして、ここで特に分けて考えておきたいのが、夫婦関係をこれからどうするのかという問題と、不貞について慰謝料を請求するのかという問題です。

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離婚するかどうかと、慰謝料を請求するかは分けて考える

配偶者の不貞が分かると、「離婚するなら慰謝料を請求する」「離婚しないなら慰謝料は請求しない」と考えてしまうことがあります。

しかし、夫婦関係をこれからどうするのかという問題と、不貞について慰謝料を請求するのかという問題は、分けて考えることができます。

離婚せずに慰謝料を請求することもできますし、離婚する場合でも、誰にどのような請求をするのかは別に考えることができます。

まずは、この二つの問題を分けて整理してみましょう。

夫婦関係をどうするか

  • 夫婦関係を続ける
  • いったん別居して考える
  • 離婚について話し合う
不貞についてどう対応するか

  • 配偶者への慰謝料請求を考える
  • 不貞相手への慰謝料請求を考える
  • 双方への請求を考える
  • 慰謝料を請求しない

この二つを分けると、「不貞があった以上、離婚するしかない」「離婚しないなら何も請求できない」といった形で、選択肢を狭く考えずに済みます。

不貞があっても、離婚するかどうかは自分で考えていい

法律上、不貞行為は離婚原因の一つとなります。

ただし、不貞行為があったからといって、離婚しなければならないわけではありません。

夫婦関係を続けたいのであれば、その選択もできます。
すぐには決められないのであれば、しばらく考えることもできます。
一緒に生活することが難しければ、別居しながら今後について考えることもあります。

反対に、「一度の不貞だから離婚するほどではない」と考えなければならないわけでもありません。

不貞の期間や内容、それまでの夫婦関係、配偶者のその後の対応、子どものこと、今後一緒に生活していけると思えるかなど、離婚するかどうかを考える事情は人によって異なります。

法律上離婚できるかという問題と、自分がこの婚姻関係をこれからどうしたいのかという問題も、完全に同じではありません。

離婚するか迷っている段階では、結論を急ぐよりも、離婚した場合と婚姻を続けた場合のそれぞれについて整理してから考えることもできます。

離婚しなくても慰謝料を請求することはできる

不貞慰謝料は、離婚すること自体を条件として請求するものではありません。

そのため、夫婦関係を続ける場合でも、不貞行為について慰謝料を請求できることがあります。

例えば、婚姻関係を続けることにしたとしても、不貞相手に対して慰謝料を請求するという選択はあり得ます。
配偶者との間で、不貞についてどのように責任を取るのかを話し合うこともあります。

もっとも、離婚に至ったか、婚姻関係にどの程度の影響が生じたかといった事情は、慰謝料額を考える際の事情になります。

「離婚するかどうか」と「慰謝料を請求できるかどうか」は関係する部分もありますが、同じ問題ではないと考えておくと整理しやすくなります。

慰謝料を誰に請求するのかも考える

不貞行為については、配偶者だけでなく、不貞相手にも不法行為責任が認められる場合があります。

そのため、慰謝料請求を考える場合には、

  • 配偶者に請求する
  • 不貞相手に請求する
  • 配偶者と不貞相手の双方に請求する

といった選択肢があります。

ただし、不貞相手に請求するためには、相手が配偶者を既婚者だと知っていたか、注意すれば知ることができたか、不貞関係が始まった時点で夫婦関係がすでに破綻していなかったかなども問題になります。

また、配偶者と不貞相手の双方に請求できる場合でも、同じ損害について慰謝料を二重に受け取れるという意味ではありません。
一方から支払いを受けたことが、他方に対する請求に影響することもあります。

慰謝料を請求できる条件や金額については、次の記事で詳しく整理しています。

不貞慰謝料はいくら?|請求できる条件・相場・金額が変わる事情

慰謝料を請求しないという選択もある

法律上慰謝料を請求できるとしても、必ず請求しなければならないわけではありません。

慰謝料を請求して責任を明確にしたいと考える人もいれば、これ以上不貞相手と関わりたくないと考える人もいます。
夫婦関係を修復することを優先したい場合もあるでしょう。

大切なのは、「請求できるか」と「実際に請求するか」を分けることです。

まず法律上どのような選択肢があるのかを確認したうえで、実際にその選択肢を使うのかを考えることができます。

不貞が分かった直後に、離婚するか、慰謝料を請求するか、その相手を誰にするかまで、すべてを一度に決める必要はありません。

ただ、離婚を現実的な選択肢として考えるのであれば、不貞の問題だけではなく、離婚後の子ども、お金、住まい、生活についても考えておく必要があります。

離婚を考えるなら、子ども・お金・生活についても整理する

配偶者の不貞をきっかけに離婚を考える場合、不貞の事実や慰謝料のことに意識が向きやすくなります。

しかし、実際に離婚するとなれば、それとは別に、子どものこと、お金のこと、住まいのことなど、これからの生活について決めなければならないことがあります。

不貞についてどのような責任を求めるかと、離婚後の生活をどう組み立てるかは、分けて整理しておくことが大切です。

子どもがいる場合は、これからの養育について考える

子どもがいる場合には、離婚後に父母のどちらが、あるいは双方が親権者となるのかを考える必要があります。

また、親権だけでなく、

  • 子どもがどこで生活するのか
  • 日常的な養育をどのように行うのか
  • 養育費をどのように負担するのか
  • 離れて暮らす親と子どもがどのように交流するのか

といったことも問題になります。

配偶者が不貞をしたからといって、それだけで親権者や子どもの生活についての結論が決まるわけではありません。
不貞の問題と、子どもにとってどのような養育環境がよいのかという問題は、分けて考える必要があります。

夫婦間の問題について責任を求めることと、子どものこれからについて考えることは、同じ問題ではありません。

離婚するときのお金について整理する

離婚するときのお金も、慰謝料だけではありません。

例えば、婚姻中に夫婦で形成した財産については財産分与が問題になります。
一定の要件を満たす場合には、年金分割についても検討することになります。

子どもがいる場合には養育費もありますし、離婚前に別居するのであれば、別居中の生活費として婚姻費用が問題になることもあります。

不貞についてのお金

  • 不貞慰謝料
  • 配偶者・不貞相手への請求
離婚・生活についてのお金

  • 財産分与
  • 年金分割
  • 養育費
  • 別居中の婚姻費用

これらはそれぞれ根拠や考え方が異なります。

そのため、「不貞をされたから、離婚するときのお金についてすべて有利になる」というわけではありません。

反対に、慰謝料の金額だけを見て離婚後のお金を考えるのも十分ではありません。
離婚を現実的に考えるのであれば、自分たちにはどのような財産があり、離婚後にどの程度の収入と支出が見込まれるのかまで確認しておくと、生活の見通しを持ちやすくなります。

別居するなら、離婚する前の生活も考える

不貞が分かった後、「もう一緒には暮らせない」と考えて、離婚が成立する前に別居することもあります。

ただ、別居すれば生活の拠点が二つになります。

どちらが自宅を出るのか、子どもはどこで生活するのか、住宅ローンや家賃をどうするのか、日々の生活費をどう負担するのかなど、離婚が成立するまでの生活についても考える必要があります。

特に、一方の収入だけでは別居後の生活を維持することが難しい場合には、婚姻費用の分担を求めることも検討します。

そのため、感情的に「今日から家を出る」と決める前に、別居後の住まいや生活費、子どもの生活などを一度整理しておいた方がよい場合があります。

離婚した後の生活を具体的に想像してみる

離婚するか迷っているときには、「配偶者を許せるか」「もう一緒に暮らせないか」という現在の気持ちだけで考えてしまうことがあります。

もちろん、その気持ちも離婚を考えるうえで大切です。

一方で、離婚という選択を現実の生活として考えるためには、

  • どこに住むのか
  • 仕事や収入はどうなるのか
  • 毎月どのくらい生活費が必要なのか
  • 子どもの生活はどう変わるのか
  • 夫婦の財産をどのように分けるのか

といったことも具体的に考えてみる必要があります。

こうしたことを確認するのは、「離婚を思いとどまるため」でも「離婚するため」でもありません。

離婚した場合と、婚姻を続けた場合の両方を現実的な選択肢として比較できるようにするためです。

不貞が分かった時点では、そこまで考えられないこともあるでしょう。
その場合には、今すぐすべてを決める必要はありません。

ただ、少しずつ情報を整理していけば、「離婚するしかない」「離婚するのは無理だ」と最初から選択肢を決めつけるのではなく、自分のこれからを考えるための材料が増えていきます。

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今すぐ答えを出さなくても、選べる状態にはしておく

配偶者の不貞が分かったとき、これからどうするのかをすぐに決められないことは珍しくありません。

離婚したいと思う一方で、本当に離婚していいのか迷うこともあります。
慰謝料を請求したいと思っても、不貞相手と関わることへの負担を感じることもあるでしょう。

時間が経つことで、最初に考えていたこととは違う選択をしたいと思うこともあります。

だからこそ、不貞が分かった直後に、これからのすべてを決める必要はありません。

「今決めること」と「後から決められること」を分ける

ここまで見てきたように、不貞が分かった後には、いくつもの問題があります。

  • 実際に何があったのか
  • どのような証拠が残っているのか
  • 配偶者や不貞相手に何を確認するのか
  • 夫婦関係をこれからどうするのか
  • 慰謝料を請求するのか
  • 離婚する場合、子どもやお金、生活をどうするのか

これらをすべて同時に決める必要はありません。

例えば、現在確認できる証拠を残すことは今の段階でもできますが、その証拠を使って慰謝料を請求するかどうかは後から考えることができます。

配偶者から事情を聞いたとしても、その場で離婚するかどうかまで答えを出す必要はありません。

今しておいた方がよいことと、時間をかけて考えられることを分ける。
それだけでも、不貞が分かった後に何から手をつければよいのかは整理しやすくなります。

選択肢を知ってから、どれを選ぶかを考える

不貞があった後の選択肢は、一つではありません。
夫婦関係を続けるのか、別居するのか、離婚するのか。慰謝料を請求するのかどうかも含めて、いくつかの選択肢があります。

どの選択がよいのかは、不貞の内容だけで決まるものではありません。

これまでの夫婦関係、配偶者のその後の対応、子どものこと、経済的な事情、これからどのように生活したいのかなどによっても変わります。

そのため、最初から一つの結論に絞るよりも、まず自分にはどのような選択肢があるのかを知り、そのうえでどれを選ぶのかを考えるという順番でも構いません。

迷っている段階で相談してもいい

弁護士への相談というと、「離婚すると決めてから」「慰謝料を請求すると決めてから」と考える人もいるかもしれません。

しかし、まだ方針を決めていない段階でも相談することはできます。

例えば、

  • 今ある証拠で不貞を立証できそうか
  • 慰謝料を請求できる可能性があるか
  • 離婚する場合にどのような条件が問題になるか
  • 別居する前に確認しておいた方がよいことはあるか
  • 今の段階で配偶者や不貞相手に連絡してよいか

といったことを確認するだけでも、これから何を考える必要があるのかは見えやすくなります。

相談したからといって、離婚や慰謝料請求をしなければならないわけではありません。
法律上の見通しを確認したうえで、何もしないという判断をすることもできます。

大切なのは、自分で選べる状態をつくること

配偶者の不貞について、離婚することが正解とも、夫婦関係を続けることが正解とも一概にはいえません。

慰謝料を請求するかどうかについても同じです。

大切なのは、誰かに結論を決めてもらうことではなく、

  • 何が起きたのかを把握している
  • 必要な証拠を残している
  • 法律上どのような選択肢があるのかを知っている
  • 離婚した場合の子どもやお金、生活についても見通しを持っている

という状態をつくることです。

そこまで整理できれば、今すぐ答えが出なくても構いません。

不貞という出来事だけにこれからを決められるのではなく、自分がどうしたいのかを考え、そのための選択肢を持っておく。

その状態をつくることが、配偶者の不貞が分かったときの最初の一歩になります。

どの段階から整理しますか