「一度だけだった。」
「恋愛感情はなかった。」
「体の関係だけだった。」
「風俗は不貞になるのだろうか。」

不貞について調べる人の中には、自分のしたことが法律上どのように評価されるのか分からず、不安を抱えている人も少なくありません。

配偶者以外の人に惹かれること自体は、人間であれば起こり得る感情です。結婚したからといって、他の異性を魅力的だと感じなくなるわけではありません。

もっとも、法律が問題にしているのは、その感情そのものではありません。
夫婦の権利や利益を侵害する行為があったかどうかという点が問題になります。

この記事では、法律上の「不貞行為」とは何か、どこからが不貞になるのかを整理した上で、不貞が発覚した場合にどのような責任が生じるのか、そしてその後に何を考えるべきかを解説します。

この記事のポイント
01
法律上の不貞行為は、「好きになったこと」ではなく、一定の性的関係があったかどうかで判断されます。
配偶者以外の人に好意を抱くことと、法律上の不貞行為は同じではありません。

02
恋愛感情がなくても、不貞行為と評価されることがあります。
「遊びだった」「一度だけだった」「体だけの関係だった」といった事情だけで結論は決まりません。

03
不貞に当たるかを知ることは、問題を整理するための第一歩です。
法律上の責任を理解したうえで、その後どのように向き合うかも大切になります。

不貞行為とは?|法律上問題となる行為

「不貞行為」という言葉を聞くと、「好きになったこと」や「浮気をしたこと」全体を指すイメージを持つ人もいるかもしれません。
しかし、法律上の不貞行為は、一般的な意味での浮気とは少し考え方が異なります。

夫婦であっても、配偶者以外の人に好意を抱くことや、魅力を感じること自体まで法律が規制しているわけではありません。
法律が問題にしているのは、その感情ではなく、夫婦の婚姻共同生活を守る利益を侵害する行為があったかどうかという点です。

そのため、法律上の不貞行為とは、配偶者以外の人と自由な意思に基づいて性的関係を持つことをいいます。
ここでいう性的関係は、一般に性交を中心とする肉体関係を指します。

恋愛感情があったかどうかや、交際期間が長かったかどうかは、不貞行為に当たるかどうかを決める直接の基準ではありません。

裁判所も、不貞行為とは、夫婦の一方が配偶者以外の人と自由な意思に基づいて性的関係を持つことをいうと考えています。
そのため、一般には「浮気」と呼ばれる行為であっても、法律上の不貞行為に当たるものと、当たらないものがあります。

もっとも、性交そのものが認められない場合でも、性交類似行為などの内容によっては、夫婦の婚姻共同生活を侵害する行為として、慰謝料請求などの問題が生じることがあります。

判断のポイント

法律上問題になるのは、「好きになったこと」ではなく、夫婦の婚姻共同生活を侵害する行為があったかどうかです。

そのため、「恋愛感情がなかった」「遊びだった」という事情だけで、不貞行為ではないとか、法的に問題がないという結論になるわけではありません。

では、実際にはどのような行為が法律上の不貞行為に当たるのでしょうか。
次に、裁判実務でどのような基準によって判断されているのかを見ていきます。

どこからが法律上の不貞になる?

不貞行為について調べていると、「キスはどうなのか」「一度だけでも不貞になるのか」「風俗はどう扱われるのか」といった疑問を持つ人は少なくありません。

もっとも、法律は、行為を細かく分類して「ここまでは大丈夫」「ここからは違法」と一律に線引きしているわけではありません。
まずは、基準となる考え方を理解することが大切です。

「性的関係」が基本的な判断基準

裁判実務では、配偶者以外の人との性的関係があったかどうかが、不貞行為に当たるかを判断する基本的な基準とされています。
また、肉体関係そのものではなくても、肉体関係と同程度に夫婦の貞操義務に反すると評価される性交類似行為が問題となることもあります。

そのため、恋愛感情があったことや、頻繁に連絡を取り合っていたことだけでは、通常は法律上の不貞行為とはいえません。
反対に、恋愛感情がなくても、自由な意思に基づいて性的関係を持てば、不貞行為と評価される可能性があります。

判断のポイント

法律上の不貞行為は、「気持ち」ではなく、「性的関係があったかどうか」が基本的な判断基準になります。

ただし、すべてのケースを単純に判断できるわけではない

もっとも、現実には、「肉体関係はなかった」と当事者が説明していても、そのほかの事情から肉体関係があったと判断されることがあります。
また、風俗の利用や、性交渉には至らない性的な行為など、評価が分かれやすいケースもあります。

そのため、「性的関係があったかどうか」という基準を前提としつつ、実際には、行為の内容や前後の事情を含めて判断されます。

次に、食事やデート、キス、セフレ、風俗など、実際によく問題になるケースごとに考え方を整理します。

よくあるケース|これは不貞行為になる?

ここまで説明したとおり、法律上の不貞行為は、性的関係があったかどうかを基本的な判断基準とします。
もっとも、現実には、食事やデート、キス、風俗など、どのような行為が不貞に当たるのか迷うケースは少なくありません。

まずは、代表的なケースを整理してみましょう。

不貞行為と評価される可能性が高い行為

  • 配偶者以外の人との性的関係
  • 一度だけの性的関係
  • 性的関係を伴う風俗の利用
  • セフレとの性的関係
直ちに不貞とはいえない行為

  • 食事やデート
  • LINE・メッセージでの性的なやり取り
  • キス・ハグなどの身体的接触
  • 性的関係を伴わない風俗の利用

食事やデート、LINEだけでは直ちに不貞とはいえない

配偶者以外の人と二人で食事をしたり、デートをしたり、LINEでやり取りをしたりしただけでは、通常、それだけで法律上の不貞行為に当たるとはいえません。

もっとも、こうした事情が全く意味を持たないわけではありません。親密な交際が続いていたことや、宿泊を伴う外出、性的関係をうかがわせるメッセージなどは、性的関係があったことを推認する事情になることがあります。

キスやハグだけでも法的責任が生じることがある

キスやハグなどの身体的接触だけでは、一般に、直ちに法律上の不貞行為に当たるとはいえません。

しかし、だからといって法律上まったく問題にならないとは限りません。行為の内容や程度、婚姻関係への影響などによっては、夫婦の婚姻共同生活を侵害する行為として、慰謝料請求などの問題が生じることがあります。

セフレや恋愛感情のない関係も不貞になる

恋愛感情がなかったとしても、自由な意思に基づいて性的関係を持ったのであれば、不貞行為と評価される可能性があります。

そのため、「体だけの関係だった」「遊びだった」「相手を好きではなかった」という事情だけで、不貞行為ではないという結論になるわけではありません。

風俗の利用はサービス内容によって考え方が異なる

風俗の利用については、一律に結論が決まるわけではありません。
実際にどのような行為があったのかによって、法律上の評価が変わります。

実際に性的関係があった場合には、不貞行為と評価される可能性があります。
一方、性交を伴わない場合には、直ちに不貞行為に当たるとはいえませんが、性交類似行為の内容などによっては、慰謝料などの法的責任が問題となることがあります。

一度だけの性的関係でも不貞になる

性的関係が一度だけであっても、不貞行為に当たる可能性があります。
法律上、不貞行為と評価されるために、一定期間交際していたことや、何度も性的関係を持っていたことまでは必要とされていません。

もっとも、一度だけだったことは全く意味がないわけではありません。不貞の期間や回数は、慰謝料額などを判断する事情の一つとなることがあります。

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不貞が発覚するとどのような責任が生じる?

法律上の不貞行為に当たる場合には、その後の夫婦関係や法的な責任に大きな影響を与えることがあります。
もっとも、不貞があったからといって、すべてのケースで同じ結果になるわけではありません。

慰謝料を請求されることがある

不貞によって配偶者の権利や利益を侵害した場合には、不貞をした配偶者に対して慰謝料が請求されることがあります。
また、不貞の相手方についても、既婚者であることを知っていた場合などには、慰謝料を請求される可能性があります。

もっとも、慰謝料が認められるかどうかや金額は、不貞の内容、不貞の相手方の認識、婚姻関係の状況や不貞が夫婦関係に与えた影響など、さまざまな事情を踏まえて判断されます。

不貞慰謝料はいくら?|請求できる条件・相場・金額が変わる事情

離婚原因になることがある

不貞行為は、法律上の離婚原因の一つです。
もっとも、不貞があれば必ず離婚になるわけではなく、夫婦が関係を修復することを選ぶケースも少なくありません。

不貞の有無と親権者の定めは別に考えられる

「不貞をしたら親権者になれないのではないか」と心配する人もいますが、不貞があったことだけで、離婚後の親権者の定めが決まるわけではありません。

離婚後は、父母の双方または一方を親権者と定めることになります。
その判断では、不貞をしたかどうかではなく、父母と子どもとの関係や父母間の関係など、子どもの利益に関わるさまざまな事情が考慮されます。

不貞かどうかだけではなく、その後どう向き合うかも大切

この記事では、法律上の不貞行為とは何か、どこからが不貞に当たるのかについて説明してきました。

もっとも、不貞に当たるかどうかを知ることだけで、問題が解決するわけではありません。

不貞をした側であれば、配偶者との関係をどう考えるのか、話し合いをするのか、責任をどのように果たすのかを考える必要があります。
また、不貞をされた側であれば、関係を続けるのか、それとも離婚を考えるのかなど、法律だけでは答えの出ない問題とも向き合うことになります。

法律は、過去に起きた出来事を評価するためのルールです。
一方で、これからの夫婦関係をどうするかは、それぞれの価値観や事情によって答えが異なります。

法律上の評価を知ることは、問題を整理するための第一歩です。

不貞かどうかという結論だけを急ぐのではなく、その後どのように向き合い、どのような選択をするのかまで考えることが、後悔の少ない解決につながります。