債務整理を考え始めたとき、

多くの人が気にするのは、

「ブラックリスト」や「家族に知られるか」だけではありません。

先にこの二つを整理したい場合は、

ブラックリストは何年残る?|時間と再出発の設計

債務整理は家族にバレる?知られる?|「知られたくない」を責めないために

もう一つ、

強く残る不安があります。

財産はどうなるのか。

家は残るのか。

車は持ち続けられるのか。

貯金は全部なくなるのか。

保険は解約になるのか。

そう考え始めると、

手続の名前よりも先に、

「失う未来」が頭に浮かんでしまうことがあります。

でも、

ここで一度、

整理しておきたい前提があります。

債務整理は、

「財産を全部なくす制度」ではありません。

かといって、

「何も変わらない制度」でもありません。

守れるものがある一方で、

手放す可能性があるものもある。

その線引きが、

制度ごとに、
そして、
財産の種類ごとに違う。

この記事では、

債務整理で財産がどうなるのかを、

守れるものと手放すものの「線引き」として整理します。

任意整理・個人再生・自己破産で何が違うのか。

現金・預金・家・車・保険など、よくある財産はどう扱われるのか。

そして、

手続の話だけでは終わらず、

生活の構造として、どこがポイントになるのか。

順番に見ていきましょう。

手続ごとに、線の引き方が違う

債務整理で財産がどうなるかは、

「債務整理」という一つの言葉では決まりません。

任意整理。

個人再生。

自己破産。

この三つで、

線の引き方がまったく違うからです。

ここを押さえないまま、

「財産は失うのか」という問いだけを立てると、

不安が必要以上に大きくなります。

だからまず、

手続ごとに、

何が原則として守られ、

何が動きやすいのか。

その地図を置きます。

三つの違いを、全体の構造から先に見たい場合は、

任意整理・個人再生・自己破産|3つの違いを構造で比較する

任意整理は「原則として財産処分を求める手続ではない」

任意整理は、

裁判所を使わず、

債権者と個別に交渉して、

利息や返済条件を整え直す手続です。

そのため、

手続の仕組みとしては、

財産を処分して配当する、

という構造になっていません。

つまり、

原則として、

自宅や車や預貯金を

「手続のせいで」差し出す手続ではありません。

ただし、

例外的に注意が必要な場面があります。

それは、

特定の債権者を任意整理の対象にするときです。

たとえば、

その債権者が、

車のローン会社だった場合。

クレジットの「購入品の引揚げ」があり得る契約だった場合。

銀行カードローンと口座が同じ銀行だった場合。

このように、

「手続としての処分」ではなく、

契約の仕組みとして動く財産があります。

任意整理で財産が動くときは、

多くの場合、

この“契約の紐づき”が原因です。

個人再生は「財産を残しやすいが、財産が多いほど返済額が増えやすい」

個人再生は、

裁判所の手続で借金を大きく減らし、

原則3年(最長5年)で返済していく制度です。

この手続の特徴は、

破産のように

財産を換価して配当する構造ではないことです。

つまり、

手続の設計としては、

財産を残しながら返済する方向に向きやすい。

とくに、

住宅ローンがある場合は、

一定の要件を満たせば、

住宅を維持できる可能性があります。

ただし、

個人再生は、

「財産を守れる=負担が増えない」

という関係ではありません。

ここが、

誤解が起きやすいポイントです。

個人再生には、

ざっくり言うと、

「この人は最低でもこれだけ返せるはず」

という線引きがあります。

その線引きの一つが、

いわゆる

“清算価値”です。

財産が多い人ほど、

再生で返すべき金額が上がりやすい。

逆に言えば、

個人再生は、

財産を処分されにくい代わりに、

財産が多いと「返済額」に反映されやすい。

そういう手続です。

自己破産は「原則として一定以上の財産は手放す。ただし生活の最低限は残る」

自己破産は、

支払不能の状態を前提に、

借金の支払義務に法的な区切りをつける制度です。

その構造は、

財産を整理して、

債権者へ配当する、

という方向に向きます。

だから、

一定以上の財産は、

原則として手放すことになります。

ただし、

「全部失う」ではありません。

生活に必要な最低限の財産は残る。

ここが、

破産の現実です。

そして、

破産で財産がどうなるかは、

次の二層で決まります。

ひとつは、

どんな財産か(預金、車、保険、積立、持ち家など)。

もうひとつは、

どの手続の型になるか(同時廃止か管財か)。

財産が多いほど、

管財事件になりやすく、

管理・換価の対象が広がりやすい。

そういう傾向があります。

まとめると、「残す/手放す」は手続の思想そのものが違う

任意整理は、

返済条件を整える手続で、

財産処分が中心ではない。

個人再生は、

財産を残しやすいが、

財産が多いと返済額が増えやすい。

自己破産は、

一定以上の財産は整理されるが、

生活の最低限は残る。

ここまでが、

まず押さえるべき「全体の地図」です。

債務整理の全体像(そもそも何をする制度か)から確認したい場合は、

債務整理とは何か|返済の「仕組み」を整え直すこと

次は、

現金・預貯金・不動産・車・保険・退職金・積立金など、

財産の種類ごとに、

どこに線が引かれやすいのかを、

もう少し具体的に整理していきます。

財産の種類で、線の引かれ方が変わる

債務整理で財産がどう扱われるかは、

「何を持っているか」で決まります。

そして同時に、

手続(任意整理/個人再生/自己破産)によって、

同じ財産でも線の引かれ方が変わります。

財産の種類 任意整理 個人再生 自己破産
現金 原則そのまま 原則そのまま(清算価値に影響することあり) 一定額までは手元に残る運用が多い(例:現金99万円)
預貯金 原則そのまま 原則そのまま(清算価値に影響することあり) 一定額を超える部分が換価対象になり得る(例:20万円超の部分)
退職金(見込) 原則そのまま 清算価値に影響し得る 見込額の一定割合が財産評価され得る(例:8分の1)
保険(解約返戻金) 原則そのまま 清算価値に影響し得る 20万円を超えると解約・換価対象になり得る
自動車・バイク 原則そのまま 清算価値に影響し得る 評価額が20万円を超えると換価対象になり得る
不動産 原則そのまま 住宅は維持できる可能性(住宅ローン特則) 原則換価の中心になりやすい
投資(株・投信・FX等) 原則そのまま 清算価値に影響し得る 原則換価対象になりやすい
暗号資産 原則そのまま 清算価値に影響し得る 原則換価対象になりやすい(履歴が残りやすい)
積立(学資・積立型保険など) 原則そのまま 清算価値に影響し得る 解約返戻金が20万円を超えると換価対象になり得る
高価品(ブランド品・貴金属等) 原則そのまま 清算価値に影響し得る 処分価値が20万円を超えると換価対象になり得る
事業用資産(在庫・工具・売掛金等) 原則そのまま(返済計画に影響) 清算価値に影響+継続性の設計が必要 原則換価・回収の対象になりやすい(営業継続の可否にも影響)

ここから先は、

よく問題になりやすい財産を順番に見ていきます。

現金は「手元に残せる範囲」が運用で決まる

任意整理の場合

任意整理は、

財産を処分する手続ではありません。

現金があること自体で、

手続の中で回収されることは通常ありません。

個人再生の場合

個人再生でも、

現金をそのまま持っていること自体は直ちに問題になりません。

ただし、

現金を含む財産が多いほど、

清算価値(返済下限)に影響する可能性があります。

自己破産の場合

自己破産では、

現金は「自由財産」として一定額まで手元に残る運用が多いです。

代表的な目安として、

現金99万円までを手元に残せる扱いとする運用が広く見られます。

ただし、

具体の扱いは裁判所・事件類型(同時廃止/管財など)で差が出るため、

「現金は一定額までは残せるが、上限を超えると説明が必要になる」

という捉え方が安全です。

預貯金は「数字で見える」ので線が出やすい

任意整理の場合

任意整理では、

預貯金があるからといって、

手続の中で引き上げられることは通常ありません。

ただし、

返済計画の現実性を作る材料としては重要です。

「毎月いくらなら続くのか」

という設計に影響します。

個人再生の場合

個人再生でも、

預貯金をそのまま保持して手続に入ること自体は直ちに問題になりません。

ただ、

預貯金を含む財産が多いと、

清算価値(返済下限)が上がる可能性があります。

結果として、

「減額できるのに返済額が思ったほど下がらない」

という形で効いてくることがあります。

自己破産の場合

自己破産では、

預貯金は換価対象になりやすい財産です。

運用の目安として、

預貯金が20万円を超える場合に、

超える部分について換価(引き上げ)の対象になり得る、

という整理がされることがあります。

一方で、

裁判所によっては、

現金と同様に一定額までは手元に残す運用をすることもあり得ます。

ただ、

預貯金は「口座残高」として記録が残るため、

説明が必要になるポイントになりやすい、

という性質は共通しています。

退職金は「近い将来に受け取る現実味」で扱いが変わる

任意整理の場合

任意整理は財産処分の手続ではないため、

退職金があること自体で直ちに回収されることは通常ありません。

ただし、

退職が近く、

退職金で返済を組み立てる予定がある場合は、

返済計画の前提になるため注意が必要です。

個人再生の場合

個人再生では、

退職金見込額が清算価値(返済下限)の算定に影響し得ます。

特に、

退職が近いなど受給の現実味が高い場合は、

財産評価の材料として意識されやすくなります。

破産と同様の扱いとなる可能性が高く、
下の「自己破産の場合」と同様の基準で、
清算価値の計算に入れることになります。

自己破産の場合

自己破産では、

退職金は「まだ受け取っていない」段階でも論点になります。

多くの場合、

勤務先の証明等により、

退職した場合の見込額(いわゆる退職金見込額)が確認されます。

そして、

近い将来に退職が見込まれる場合と、

そうでない場合で、

その見込額をどれだけ「具体的な財産」として評価するかに差が出ます。

区別 扱いのイメージ 確認されやすい資料
近い将来退職が見込まれる 自己都合退職した場合の見込額の1/4が20万円を超えていればその額を財団へ 退職金見込額証明、就業規則・退職金規程等
退職が遠く見通しが立ちにくい 自己都合退職した場合の見込額の1/8が20万円を超えていればその額を財団へ 退職金見込額証明、就業規則・退職金規程等

運用例として、

東京地裁では、

退職金見込額の8分の1を財産として評価し、

その8分の1が20万円を超える場合に換価対象になり得る、

という整理が示されることがあります。

ただし、

運用には裁判所ごとの差がありますが、

まずは

「退職金見込額を一定割合で評価し、その評価額が20万円を超えると換価が問題になり得る」

という枠組みで捉えると、整理が崩れません。

保険は「解約返戻金」が線引きになる

任意整理の場合

任意整理は財産処分の手続ではありません。

保険契約があること自体で、

手続の中で解約を求められるのが通常、というわけではありません。

ただし、

毎月の保険料が重く返済計画が立たない場合は、

家計の見直しの中で整理対象になることがあります。

個人再生の場合

個人再生では、

解約返戻金のある保険は、

清算価値に影響し得ます。

つまり、

解約返戻金相当が大きいと、

返済下限(最低弁済額)が上がる方向に働きます。

自己破産の場合

自己破産では、

解約返戻金は換価対象になりやすい財産です。

解約返戻金が20万円を超えると、

解約して返戻金を財団に組み入れる扱いになり得ます。

一方で、

返戻金が小さい場合は、

そのまま維持できるケースもあります。

どこに線が引かれるかは裁判所運用によるため、

「解約返戻金がどれくらいあるか」を早めに把握することが重要です。

車・バイクは「時価」と「生活の必要性」で見え方が変わる

任意整理の場合

任意整理は財産処分の手続ではないため、

車があること自体で直ちに手放すことにはなりません。

ただし、

車のローンが残っている場合は注意が必要です。

ローン会社の種類や契約内容によっては、

契約解除・引揚げが問題になることがあります。

個人再生の場合

個人再生では、

車の時価(売却価値)が清算価値に影響し得ます。

ローンが残っている場合も、

「車を維持するための支出が現実的か」

という点が計画の中で問題になり得ます。

自己破産の場合

自己破産では、

車は換価対象になり得ます。

基本は「時価」で判断され、

20万円を超えると売却して財団に入れる扱いになりやすいです。

一方で、

仕事や通院などで必要性が高い場合でも、

高額車をそのまま維持できるとは限りません。

「必要だから残せる」というより、

「時価が低い・換価しても実益が少ない」場合に残る、

という構造を押さえておく方が現実に合います。

不動産は「維持できる手続」と「換価が中心の手続」に分かれる

任意整理の場合

任意整理は財産処分の手続ではないため、

不動産(自宅)があること自体で直ちに処分にはなりません。

ただし、

住宅ローンや担保がある場合は、

返済を継続できるかが実質の分岐点になります。

個人再生の場合

個人再生の大きな特徴は、

住宅ローン特則により、

住宅ローンを従来通り支払いながら自宅を維持できる可能性があることです。

ただし、

必ず守れるわけではありません。

滞納状況や担保関係、ローンの内容によっては難しい場面もあります。

それでも、

「不動産を守る」という軸がある場合に、

個人再生が強い選択肢になり得るのは事実です。

自己破産の場合

自己破産では、

不動産は換価の中心になりやすい財産です。

担保がついていれば、

担保権の実行(競売等)によって手放す方向に進むことが多く、

担保がなくても、

財産価値があれば売却して債権者配当に回すことが検討されます。

自宅を守りたい場合、

自己破産は基本的に相性が良くない、

という前提を置いて整理した方が安全です。

株・投資信託などの投資は「換価しやすい」ので境界線がわかりやすい

任意整理の場合

任意整理では、

投資をしていること自体で直ちに処分されるわけではありません。

ただし、

返済計画との関係では、

投資を続けることが家計上妥当か、という視点で見直し対象になり得ます。

個人再生の場合

個人再生では、

株や投資信託の評価額が清算価値に影響し得ます。

価格変動があるため、

「いつ時点の評価で見るか」

という問題が出ることもありますが、

結論としては、

評価額が大きいほど返済下限が上がりやすい、

という理解で足ります。

自己破産の場合

自己破産では、

株や投資信託は原則として換価対象になりやすい財産です。

売却して現金化し、財団に組み入れる流れが基本になります。

暗号資産など

任意整理の場合

任意整理では、

暗号資産があること自体で直ちに回収されるわけではありません。

ただし、

価格変動が大きく、

家計の安定を崩しやすい性質があるため、

返済計画との整合で見直し対象になりやすい財産です。

個人再生の場合

個人再生では、

暗号資産の評価額が清算価値に影響し得ます。

評価の時点や把握方法が問題になりやすいので、

取引所の残高・履歴など、説明できる形にしておくことが重要です。

自己破産の場合

自己破産では、

暗号資産は原則として換価対象になります。

特に、

取引所での入出金履歴や銀行口座との連動で判明することが残りやすく、

手続に入る局面で、

暗号資産の処分や移動を安易にすると、

説明負担が増えたり不利に評価されるリスクが上がります。

積立(学資・積立型保険など)は「換価できる価値」が基準になる

任意整理の場合

任意整理では、

積立をしていること自体で直ちに処分されるわけではありません。

ただし、

積立の掛金が家計を圧迫しているなら、

返済設計の中で見直し対象になります。

個人再生の場合

個人再生では、

積立の解約返戻金や解約時の受取額がある場合、

清算価値に影響し得ます。

「積立の名目」ではなく、

「解約したらいくら戻るか」で見られる、

という理解が安全です。

自己破産の場合

自己破産では、

解約返戻金がある積立は換価対象になり得ます。

どこに線が引かれるかは運用によるため、

返戻金の見込みを把握しておくことが重要です。

高価品・家財は「売ったらいくらになるか」で見られる

任意整理の場合

任意整理では、

家財や高価品を処分する手続ではありません。

ただし、

高額な買い物を繰り返している状況だと、

返済設計の前提として家計管理の見直しが必要になります。

個人再生の場合

個人再生では、

高価品や貴金属・ブランド品などに換価価値がある場合、

清算価値に影響し得ます。

「持っているだけでアウト」ではなく、

財産価値がどの程度あるかが焦点になります。

自己破産の場合

自己破産では、

高価品は換価対象になり得ます。

判断の軸は、

生活必需品かどうかではなく、

処分価値(売却価値)が20万円を超えるかどうか、

という点になりやすいです。

ブランド品や貴金属、時計などは、

評価・換価の対象になりやすい典型です。

事業用資産は「生活」だけでなく「営業の構造」にも影響する

任意整理の場合

任意整理では、

事業を続けながら返済条件を調整することが多く、

在庫・工具・設備などは基本的にそのまま維持されます。

ただし、

返済計画の前提として、

売上・経費・資金繰りの説明が重要になります。

個人再生の場合

個人再生では、

事業継続を前提に計画を立てることもありますが、

事業用資産の価値が清算価値に影響し得ます。

売掛金や在庫など、

「動く財産」が多い場合は、

把握と説明の負担が増えやすいです。

自己破産の場合

自己破産では、

事業用資産は原則として換価・回収の対象になりやすく、

営業継続の可否にも直結します。

在庫、売掛金、機械・工具、車両など、

何が財団に入るかの整理が早期に必要になります。

処分すれば20万円を超えそうな財産は「先に売る」が危険になることがある

財産の線引きが気になり始めると、

「20万円を超えそうなら、先に処分してしまえばいいのでは」

と考えたくなることがあります。

けれど、

自己破産や個人再生を視野に入れている局面では、

ここが大きな落とし穴になります。

理由は単純で、

処分した事実は後から必ず確認されやすいからです。

通帳の動き。

フリマアプリ等の売却代金の入金。

換金の痕跡。

保険解約の履歴。

こういう形で残ります。

そして、

その処分が、

「財産を隠すため」「特定の相手だけを優先して払うため」

と見られると、

後から返還を求められたり、

手続に不利に働くリスクが出ます。

やりがちな行動 問題になりやすい理由 起き得るリスク
相場より明らかに安く売る(名義を移す) 財産を減らす意図が疑われやすい 返還を求められる/説明負担が増える
特定の債権者だけを先に多額返済する 公平を崩す支払いとして疑われやすい 返還対象とされる/手続の進め方に影響
現金化して保管・使途が追えない状態にする 財産隠し・使途不明と評価されやすい 説明不能が積み上がる/信用を失いやすい

「20万円を超えるかもしれない」

という見立てがある財産ほど、

先に動かすと、

後から説明が難しくなります。

線引きをまたぐかどうかで悩む場面は、

処分の工夫ではなく、

手続の選択と準備で整理する方が安全です。

落とし穴:財産そのものより「口座と契約」が動く

財産の話で、

見落とされがちなのは、

財産の“中身”よりも、

それを支えている
口座・契約の動きです。

預金がいくら残るか。

車を残せるか。

もちろん大事です。

でも、

生活が揺れるのは、

多くの場合、

「引き落としが止まる」

「カードが使えない」

「口座の動きが変わる」

という形で先に来ます。

債権者が銀行の場合:口座が生活の中心だと揺れやすい

もし、

借入先の中に
銀行が入っていて、

その銀行口座が
生活の中心になっていると、

影響は出やすくなります。

たとえば、

返済の引落口座がそこ。

給与振込もそこ。

家賃や光熱費もそこ。

こういう設計だと、

手続に入った瞬間から、

「生活の動線」まで一緒に揺れます。

任意整理でも、

対象となる債権者には受任通知を出します。

銀行が債権者なら、

返済の引落が止まる、

カードローンやクレジット機能が止まる、

という変化が起き得ます。

個人再生や自己破産の局面では、

取引関係の整理や
相殺の処理なども絡み、

口座の使い方を見直した方がよい場面が出ます。

ここで重要なのは、

「財産を隠す」ことではありません。

生活を回すための“支払いの道”を、

先に把握しておくことです。

どの口座が、

給与の入口なのか。

どの口座から、

家賃や公共料金が出ているのか。

どの支払いが、

クレジットカード前提になっているのか。

この整理ができていると、

手続の中で
余計な混乱が減ります。

家族名義・共有名義:守れるかではなく“説明が要るか”が問題になる

「家族名義なら安全ですか」

という発想も出やすいですが、

名義だけで
話が終わるわけではありません。

家族名義の口座やカードがあっても、

そこに本人のお金が流れているなら、

説明が必要になる場面があります。

たとえば、

本人の給料が
家族名義口座に入っている。

本人の返済や生活費が
家族名義カードから出ている。

家族口座に、

まとまった入金が繰り返しある。

こういう動きは、

「誰のお金で、何を払っていたか」

という形で見られます。

問題になるのは、

家族を疑うことではありません。

生活の実態が一体なら、

実態に沿って説明が要る、

というだけです。

逆に言えば、

説明できる形になっていれば、

必要以上に怖がる話ではありません。

怖いのは、

後ろめたさから
動かし方が不自然になること。

急に名義を変える。

急に現金化する。

急に家族へ移す。

そういう動きは、

かえって目立ちます。

「守れるかどうか」以前に、

“動きが自然かどうか”

が大きい。

ここは押さえておく価値があります。

結局のところ、財産は「手続」より“生活の構造”で決まる

任意整理。

個人再生。

自己破産。

手続の違いは、

もちろん大きいです。

ただ、

同じ手続でも、

体感の重さは
人によって変わります。

それを分けるのが、

生活の構造です。

家計は、

共同なのか、

個別なのか。

支払いは、

カード中心なのか、

口座引落中心なのか、

現金中心なのか。

給与の入口と、

生活費の出口が、

どこに集まっているのか。

そして、

何を守りたいのか。

住まいなのか。

車なのか。

仕事の道具なのか。

家族の生活の安定なのか。

線引きは、

制度が引きます。

でも、

その線引きが
どんな形で生活に現れるかは、

生活の動線が決めます。

だから、

財産の話は、

「残る/残らない」で終わりません。

どの口座で回すのか。

どの支払いをどこへ寄せるのか。

どの情報が家族と共有になっているのか。

そこまで含めて、

“守れる形”を作っていく話になります。

どの段階から整理しますか

借金の問題は、すぐに手続を選ぶことから始まるわけではありません。

いまの自分の状況に合わせて、整理する段階を選ぶことができます。